学 校 い じ め 防 止 基 本 方 針

紀宝町立相野谷中学校

令和6年12月改訂

 

= はじめに =

 いじめは「どの学校でも、どの子にも起こり得る」ものであり、外から見えにくいも のであることから、学校だけの問題ではなく社会全体の問題として、生徒に関わる全て の大人が「いじめは絶対に許さない」という意識を持ち、学校・家庭・地域が一体となっ て学校内外のいじめの防止に取り組むとともに、生徒が傍観者になることなく、いじめ の問題を主体的に考え、行動することをめざす必要がある。 そこで、本校では、「紀宝町子どものいじめの防止等に関する条例」および「紀宝町い じめ防止基本方針」に沿って、「学校いじめ防止基本方針」を策定(改定)し、いじめの 問題を克服するため、学校、生徒、保護者、地域が総がかりで取り組むこととした。

 

1 いじめの防止等のための対策の基本的な考え方

(1)紀宝町子どものいじめの防止等に関する条例の目的

第1条 この条例は、いじめが、いじめを受けた児童等の人権を著しく侵害し、その 心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は 身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、いじめ防止対 策推進法の趣旨を踏まえ、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びい じめへの対処)の対策に関し、基本理念を定め、町及び学校等の責務を明らかにし、 いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、町、学校、家 庭、地域住民その他の関係者が連携し、子どもが安心して生活し、学ぶことができ る環境をつくることを目的とする。

 

(2)いじめの防止等の対策に関する基本理念

第3条 町、学校、家庭、地域住民その他の関係者は、いじめが絶対に許されない行為 であるという共通認識を持ち、児童等が安心して生活できる社会づくり及び学校づ くりを行うものとする。 2 学校は、いじめの防止及び早期発見に努め、いじめの訴えがあったときには、迅 速かつ的確に、誠意をもって個人それぞれに応じた対応を進めるものとし、常に関 係児童等の保護者等と連携を図りながら、解決に努めるものとする。

 

(3)いじめの定義

「いじめ」とは、生徒等に対して、当該生徒等が在籍する学校に在籍している等 当該生徒等と一定の人的関係にある他の生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与 える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対 象となった生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。

 

 個々の行為が「いじめ」にあたるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた生徒の立場に立つことが必要である。

 この際、いじめには、多様な態様があることに鑑み、法の対象となるいじめに該当す るか否かを判断するにあたり、「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めることが必要である。例えばいじめられていても、本人がそ れを否定する場合が多々あることを踏まえ、当該生徒の表情や様子をきめ細かく観察す るなどして確認する。

 ただし、このことは、いじめられた生徒の主観を確認する際に行為の起こったときの いじめられた生徒本人や周辺の状況等を客観的に確認することを排除するものではない。

 「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の生徒や、塾 やスポーツクラブ等当該生徒が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該生徒と 何らかの人的関係を指す。

 また、「物理的な影響」とは、身体的な影響のほか、金品をたかられたり、隠されたり、 嫌なことを無理矢理させられたりすることなどを意味する。けんかやふざけ合いであっ ても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、 生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断するものとする。

 なお、例えばインターネット上で悪口を書かれた生徒がいたが、当該生徒がそのこと を知らずにいるような場合など、行為の対象となる生徒本人が心身の苦痛を感じるに至 っていないケースについても、加害行為を行った生徒に対する指導等については法の趣 旨を踏まえた適切な対応が必要である。

 加えて、いじめられた生徒の立場に立って、いじめにあたると判断した場合にも、そ の全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない。例えば、好意から行った行為が、 意図せずに相手側の生徒に心身の苦痛を感じさせてしまったような場合、軽い言葉で相 手を傷つけたが、すぐに加害者が謝罪し教員の指導によらずして良好な関係を再び築く ことができた場合等においては、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対 応による対処も可能である。ただし、これらの場合であっても、法が定義するいじめに 該当するため、いじめを発見またはいじめに関する情報を得たら、原則としてその日のうちに校長と関係教職員が情報共有し、当面の対応を決定し、直ちに取り組むとともに、事案を学校におけるいじめの防止等の対策のための組織へ情報共有する ことは必要となる。

 

(4)具体的ないじめの態様

 ・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる

 ・仲間はずれ、集団による無視をされる

 ・軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする

 ・ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする

 ・金品をたかられたり、隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする

 ・嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする

 ・パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる等

 

 これらの「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に 警察に相談することが重要な場合や生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるよ うな、直ちに警察に通報することが必要な場合が含まれる。これらについては、生徒の命や安全を守ることを最優先に、犯罪行為として取り扱われるべきいじめなどは直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めることが必要である。

 

(5)いじめの理解

 いじめは、どの子どもにも、どの学校でも、起こりうるものである。とりわけ、嫌がら せやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの生徒が入れ替わりながら被害も 加害も経験する。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多 3 くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身 体に重大な危険を生じさせうる。

 加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級や部活動等の所属集団 の構造上の問題(例えば無秩序性や閉塞性)、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団 全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。

 

2 町が実施するいじめの防止等に関する施策への連携や協力等

(1)いじめの早期発見のための措置

 (ア)定期的な調査等

 いじめを許さない学校づくりを進めるとともに、生徒の小さなサインを見逃さず、 日頃から生徒理解に努め、毎学期に1回以上のアンケート調査に加え、面談等を実施 するなど、多面的な情報を得ることにより、的確な対応が行われるよう生徒指導体制 の充実を図る。

〇毎学期に1回以上のアンケート調査や面談等に加え、学習用端末等を活用し、いつでも学校にいじめを伝えられる環境を整備し、認知されたいじめ事 案を毎月報告するとともに、早期解決に向けて全校体制で取り組む。また、アンケ ートの実施にあたっては、適切に生徒の声を把握できるよう回収方法等プライバ シーに十分配慮するよう促す。その際、虐待が疑われる記載等があった場合は、町 等へ情報提供又は通告するとともに、保護者から情報元の開示の求めがあっても 情報元を保護者に伝えず、児童相談所等と連携しながら対応することについて周 知徹底を図る。

〇いじめの防止等に関する取組状況については、町・県教委が実施する県内一斉調査 に協力する。

〇ネットリテラシーや情報モラルを育む教育を推進し、生徒間のネット上のトラブルの早期発見を図る。

〇県教委のインターネット上における書き込みの監視する事業を活用して、ネット 上のトラブルの早期発見・早期対応を図る。

  (イ)相談体制の充実及び周知

 アンケート調査や個人面談において、自ら SOS を発信すること及びいじめの情報 を教職員に報告することは、生徒にとっては多大な勇気を要することを理解し、町・ 県教委やいじめの防止等に関する機関等と連携し、生徒、保護者等が安心していじめ に関する通報及び相談を行うことができる体制を整備するとともに、「いじめ電話相 談」や「子ども LINE 相談みえ」等の関係機関・団体等の相談窓口の周知を図る。

 また、生徒がいじめの問題を起こす背景には、自分だけでは対処できないような複 雑で多様な悩みや不安を抱えている状況が考えられる。こうした状況を早期に発見し対応するため、スクールカウンセラー等を活用することにより、教育相談体制の充実を図る。

 これらの相談体制の充実を図るに当たっては、以下のことに留意し進める。

〇多様な相談に適切に対応できるよう、スクールカウンセラーや相談員等と連携を 深めながら、教職員等の資質向上に努める。

〇生徒が悩みや不安をどの教職員にも相談できる体制を整備し、生徒にも周知する。

〇生徒、保護者へ相談窓口等の周知徹底をするとともに、相談の結果、いじめの解決 につながった具体的な事例等を示すなど、生徒に自ら周囲に援助を求めることの 重要性を理解させる。

  (ウ)個人情報の保護

 いじめに関する通報及び相談を受けた者は、いじめに関する通報又は相談を行っ 4 た者等の個人情報を適切に保護する。また、迅速に事案に対応するため、必要に応 じて関係機関等で情報共有を行う。

  (エ)学校と家庭との連携

 生徒が問題に直面した際、保護者や教職員がその兆候を発見して支えられるよう、「いじめ早期発見のため気づきリスト」を活用するなどして、学校と家庭が連携し、生徒の悩みや不安をいちはやく把握するように努める。

 

(2)いじめの防止等のための資質の向上及び専門家の活用

 教職員のいじめの防止等に関する理解を深め、その実態に応じた適切な対処ができるなどの資質や能力の向上のために、研修会へ積極的に参加したり、いじめの防止や生徒理解を深めるための校内研修や、生徒がいじめの防止・早期発見に必要な知識を得たり、いじめを発見したときの対応方法を身に付けたりする学習を促進するための研修をすすめる。

 また、生徒に対するより専門的な心のケアや関係機関との連携を進めるため、スク ールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家を積極的に活用し、指導・ 助言・支援を受ける。

 

(3)インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進

 アンケート等により生徒のインターネットの利用について把握したうえで、外部からの指導者等も招聘し、インターネットの正しく安全な利用方法や、情報化社会において適正な活動を行う上で基本となる考え方について等、情報モラル教育を推進する。

 

(4)いじめの防止等のための啓発活動

(啓発)

第11条 町は、いじめが生徒等の人権を侵害し、その心身に重大な影響を与えるも のであり、絶対に許されない行為であることを理解してもらうため、町民に対し て、いじめに関する必要な啓発活動に努める。

 

 いじめの防止等について理解を深め、社会総がかりでいじめの問題を克服するため、 町・県教委が推進する4月と11月のいじめ防止強化月間の取組と連携し、いじめの 防止に向けた生徒の取組をすすめる。また、育友会活動や学校運営協議会活動を通じ て、町民に広く、いじめの問題やこの問題への取組についての理解を深める機会を持つように努める。また、生徒・保護者等が安心していじめに関する通報及び相談を行う ことができる窓口、及び関係機関と連携を図りいじめからの救済に関する制度等(※1)についても広報啓発を行う。

(※1)法務省の人権擁護機関による救済措置

 

3 本校が実施するいじめの防止等に関する施策

(1)学校いじめ防止基本方針の策定

 学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を策定するとともに、必要に応じて見直しを行う。また、学校基本方針の策定又は見直しを行ったときは、ホームページや学校通信等を通じて、保護者や地域住民が容易に確認できるよ うにするとともに、その内容を入学時・各年度の開始時に生徒、保護者、地域住民等に説明する。

 

(2)本校におけるいじめの防止等の対策のための組織

 教職員間における情報の共有を図るとともに協力体制を構築し、学校全体でいじめ の防止及び早期発見に取り組み、生徒がいじめを受けていると思われるときは適切か つ迅速に対処する。また、いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、「学校に おけるいじめの防止等の対策のための組織」(「いじめ対策委員会」)を置く。

 いじめについては、特定の教職員で問題を抱え込まず組織的に対応することにより、 複数の目による状況の見立てが可能となる。この組織は、複数の教職員に加え、必要に 5 応じて、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワー カーなどの専門家等が参加しながら対応することにより、より実効的ないじめの問題 の解決に資することが期待されるからである。

 また、いじめ防止基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検 証・修正に当たっては、育友会や生徒会、学校運営協議会等を通じて、保護者や生徒の 代表、地域住民などの意見を聞くように努める。

 いじめ対策委員会は、組織的かつ実効的にいじめの問題に取り組むに当たって中核 となる役割を担う。具体的な役割としては、

 

 【未然防止】

〇いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを行う

 【早期発見・事案対処】

〇いじめの相談・通報を受け付ける窓口としての機能

〇いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有 を行う。

〇いじめに係る情報があった時には緊急会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、 関係のある生徒への事実関係の把握といじめであるか否かの判断、指導や支援の 体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する。

 【いじめ防止基本方針に基づく各種取組】

〇いじめ防止基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・ 修正を行う。

〇いじめ防止基本方針に基づき、いじめの防止等に係る校内研修を企画し、計画的に 実施する。

〇いじめ防止基本方針が実情に即して適切に機能しているかについての点検を行い、 いじめ防止基本方針の見直しを行う。具体的には、いじめ防止基本方針に基づく取 組の実施状況を学校評価の評価項目に位置付け、目標の達成状況を評価し、いじめ の防止等のための取組の改善を図る。(PDCAサイクルの実行)

〇アンケート、いじめの通報、情報共有、適切な対処等のあり方についてのマニュア ルを定め(「早期発見・事案対処のマニュアル」の策定等)、「チェックリストを作成し、全教職員で共有する。

 

 いじめが起きにくい、いじめを許さない環境づくりを実効的に行うために、いじめ 対策委員会は、生徒及び保護者に対して、自らの存在及び活動が容易に認識される取 組を実施する。また、いじめの早期発見のために、いじめ対策委員会は、いじめを受け た生徒を徹底して守り通し、事案を適切かつ迅速に解決する相談・通報の窓口である と生徒から認識されるようにしていく。

 また、いじめ対策委員会は、いじめの防止等の中核となる組織として、的確にいじめ の疑いに関する情報を共有し、共有された情報を基に、組織的に対応できるような体 制とする。特に、事実関係の把握、いじめであるか否かの判断は組織的に行うことが必 要であり、当該組織が、情報の収集と記録、共有を行う役割を担うため、教職員は、さ さいな兆候や懸念、生徒からの訴えを抱え込まずに、又は対応不要であると個人で判 断せずに、直ちに全て当該組織に報告・相談する。加えて、当該組織に集められた情報 は、生徒ごとに記録し、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図る。

 これらのいじめの情報共有は、個々の教職員の責任追及のために行うものではなく、 気付きを共有して早期対応につなげることが目的であり、管理職は、リーダーシップ をとって情報共有を行いやすい環境の醸成に取り組む。

 いじめ対策委員会は、「当該学校の複数の教職員」については、管理職や生徒指導担 当教員、学年主任、養護教諭、学級担任、教科担任、部活動指導に関わる教職員、学校 医等から、組織的対応の中核として機能するような体制を、実情に応じて決定する。さ らに、可能な限り、「心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者」として、心理や 福祉の専門家であるスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの専門家を 当該組織に加え、実効性のある人選とする。

 

(3)本校におけるいじめの防止等に関する措置

(学校及び学校の教職員の責務)

 学校及び学校の教職員は、当該学校に在籍する生徒等の保護者、地域住民、相談所 その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組 むとともに、当該学校に在籍する生徒がいじめを受けていると思われるときは、適切 かつ迅速にこれに対処するとともに、法に規定するいじめの防止等のための必要な措 置を講ずるものとする。

  (ア)いじめの未然防止

 いじめはどの生徒にも起こりうる、どの生徒も被害者にも加害者にもなりうること を踏まえ、本校及び本校の教職員は生徒をいじめに向かわせないための未然防止に取り組む。

未然防止の基本として、

・全ての生徒が、安全・安心に学校生活を送ることができ、学習その他の活動に主体的 に参加・活躍できるよう、授業づくりや集団づくり、学校づくりを行う。

・いじめに向かわない態度や能力を育成するため、教育活動全体を通じた道徳教育や 人権教育の充実、体験活動などの推進により生徒の社会性を育むとともに、他人の 気持ちを共感的に理解できる豊かな情操を養いお互いの人格を尊重する態度を養う。

・全ての生徒が、認められている、満たされているという思いを抱くことができるよ う、他の生徒や大人との関わり合いを通して、他人の役に立っている、他人から認め られているといった自己有用感や自己肯定感を獲得させる。

・生徒がいじめを行わない、かついじめを傍観しないよう、生徒自らがいじめの問題に ついて学び、主体的に考え、いじめの防止に向けた取組が進むよう支援する。 なお、教職員の不適切な認識や言動が、生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを 助長したりすることがないよう、指導の在り方には細心の注意を払う。

 その他にも、特に配慮が必要な生徒(発達障がいを含む障がいのある生徒、海外から帰国した生徒や外国人の生徒、性同一性障がいや性的指向・性自認に係る生徒、東日本大震災により被災した生徒等)については、教職員が個々の生徒の特性を理解し、日常的に、当該生徒の特性を踏まえ適切な支援を行うとともに、必要に応じて、保護者や周囲の生徒に対してその特性の理解を促す取組を行う。  

 (イ)早期発見

 いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装っ て行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いこ とを教職員は認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、 早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじ めを積極的に認知することが必要である。

 このため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒と向き合うこと により、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つとともに、 定期的なアンケート調査(学期に一回以上)に加え教育相談の実施等により、生徒がい じめを訴えやすい体制を整え、いじめの実態把握に組織的に取り組む。

 アンケート調査や個人面談において、生徒が自らSOSを発信すること及びいじめ 7 の情報を教職員に報告することは、当該生徒にとっては多大な勇気を要するものであ ることを理解しなければならない。これを踏まえ、生徒からの相談に対しては、必ず教 職員等が迅速に対応することを徹底する。この際、虐待が疑われる通報や相談があっ た場合は、市町等へ情報提供又は通告するとともに、保護者から情報元の開示の求め があっても情報元を保護者に伝えず、児童相談所等と連携しながら対応する。

 また、いじめを正確に認知することは、いじめの対応の第一歩である。いじめの正確 な認知については、以下の点について留意する。

〇毎年実施している「生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の 集計過程で、いじめの認知件数が零であった場合は、当該事実を生徒や保護者向け に公表し、検証を仰ぐことで認知漏れがないか確認する。

〇いじめの認知に関する考え方をまとめた教職員向け資料の全ての教職員への配付や、 職員会議やいじめ対策委員会の会議、いじめの問題に関する研修会において、管理 職等が当該資料の内容を説明するなどにより、いじめの正確な認知に関する教職員 間での共通理解を図る。

〇いじめの認知に当たっては、加害行為の「継続性」「集団性」や「一方的」など被害・ 加害生徒の力関係の差等の要素により、いじめの定義を限定して解釈しないように すること。また、実際の事案においても、いじめの定義とは別の要素(加害行為の 「継続性」「集団性」等)を判断基準とすることにより、いじめとして認知しないこ とがないようにする。 

 (ウ)いじめに対する措置

 教職員がいじめを発見し、又は相談を受けた場合には、特定の教職員が、いじめに係 る情報を抱え込むことなく、速やかに、いじめ対策委員会に対し当該いじめに係る情 報を報告し、組織的な対応につなげなければならない。また、各教職員は、いじめに係 る情報を適切に記録しておく。

 いじめ対策委員会において情報共有を行った後は、事実関係の確認の上、組織的に 対応方針を決定し、被害生徒を徹底して守り通す。加害生徒に対しては、当該生徒の人 格の成長を旨として、教育的配慮のもと、毅然とした態度で指導する。これらの対応に ついて、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関との連携のもとで 取り組む。

 その際、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等を活用し、 生徒の心のケアや、関係機関との連携を進めるとともに、精神科医等の医療関係者等 と連携することも検討する。

 いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめの解消につ いては、以下に示すことを踏まえて判断する。

 

≪いじめの解消について≫

 いじめが「解消している」状態とは、少なくとも以下の2つの要件が満たされている。 ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案 して判断する。

 ① いじめに係る行為が止んでいること

 被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行わ れるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間と は、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期 の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、町教委やいじめ対策 委員会の判断により、より長期の期間を設定するものとする。教職員は、相当の期間が 8 経過するまでは、被害・加害生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判 断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。

 ② 被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと

 いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害生徒がいじめ の行為により心身の苦痛を感じていないと認められることが重要である。そこで、被害 生徒本人及びその保護者に対して、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により 確認する。

 いじめが解消に至っていない段階では、被害生徒を徹底的に守り通し、その安全・安 心を確保する責任を有する。いじめ対策委員会においては、いじめが解消に至るまで被 害児童生徒の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処 プランを策定し、確実に実行する。

 上記のいじめが「解消している」状態とは、あくまで、一つの段階に過ぎず、「解消し ている」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏ま え、教職員は、当該いじめの被害生徒及び加害生徒については、日常的に注意深く観察する。

 さらに、いじめに関する個別の事案に関して、町教委に報告する。また、収集した情 報については、必要に応じて調査研究に活用したり、いじめの防止や予防の観点から関 係者と共有し、いじめの問題に悩む生徒や保護者等に対して、適切に対応できるようにする。

 加えて、犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案については、学校警察連 絡制度の活用等により、警察に相談・通報するなど、十分な連携を図る。

 

4 重大事態への対処

 いじめの重大事態については、紀宝町いじめ防止基本方針、「いじめの重大事態の調 査に関するガイドライン」及び「不登校重大事態に係る調査の指針」に加え、「三重県いじめ対策審議会の答申をふまえたいじめ重大事態の対処について」と「三重県いじめ調査委員会の提言をふまえた具体的な対応策について」により適切に対応することとする。

(1)重大事態とは

 いじめによる重大事態とは、いじめを受ける生徒の状況に着目して判断し、①「いじめにより当該学校に在籍する生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑 いがあると認める場合」や②「いじめにより当該学校に在籍する生徒が相当の期間学 校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める場合」を言う。

 このような重大事態が発生した場合は、町教委とも連携しながら、具体的には「紀宝町いじめ防止基本方針」に沿って対応する。

  

5 その他

 生徒に対する調査記録の保存期間については、「紀宝町いじめ防止基本方針」に沿って、保存を行う。

  

=附則=

本基本方針は、紀宝町いじめ防止基本方針の改定に合わせて見直しを行います。